MCRO ZOOMATAR

オールドレンズでフィギュア撮り。
フィギュアの情景写真を撮るとき、最新の現代レンズを使用するより、古いレンズを使用する方が雰囲気が出りすることがあります。
また、現代のレンズはオートフォーカスに特化しています。近接撮影でマニュアルフォーカスを使う場合、オートフォーカス機構が組み込まれていない古いレンズの方が扱いやすかったりもしますので、自分は好んで古いレンズを使用しています。
そんなこんなで古いレンズを使っていると、あれも欲しいこれも欲しいと必然的にレンズ沼にズブズブとハマっていくわけですが、幸い自分は深みにハマる前に抜け出せました。
抜け出したとはいえ、レンズ沼に片足を突っ込んだのも事実、その時あつめた数少ないオールドレンズを今回から気まぐれで紹介していきたいと思います。
第一弾は、フィギュア撮りで一番使用頻度の高いレンズ「MCRO ZOOMATAR(マクロズーマター)」の紹介です。

マクロズーマターは「Kilfitt Macro-Kilar(キルフィット・マクロキラー)」の最後期型になります。
マクロキラーというのは、1955年にキルフィット社から発売された世界初の"マクロ"レンズです。
鏡胴の奥まった所にレンズがあり、すり鉢状の形状をしているのが特長で、現代のマクロレンズもこの構造が一部引き継がれています。
キルフィット社は1968年以降、会社名を「Zommar(ズーマ)」と変更して、マクロキラーもマクロズーマターと改名しました。
手元にあるマクロズーマターは、1968年~1971年頃のレンズだと思います。

刻印は「MCRO ZOOMATAR D 1:2.8/4cm」
ZOOMATARの後ろにある"D"の文字は、ダブルヘリコイドを意味していて、マクロで等倍撮影ができるモデルになります。
ズーマターでハーフマクロが存在するかは分かりませんが、マクロキラーだった頃は、"D"の他に"E"というタイプがあり、Eタイプはハーフマクロでした。
1:2.8/4cmの意味は「40mm F2.8」です。40mmマクロという画角は、フィギュア撮りでとても使いやすい画角です。
フルサイズカメラで使えばそのまま40mmで使えますが、APS-Cで大体1.5倍しても60mm相当で使えることになります。
60mm相当のマクロレンズとなると、現代のレンズでもなかなかありません。
この画角のためだけでもフィギュア撮りで使用する価値が十分にあります。

「made in West Germany」と刻印があります。
マクロキラー時代はリヒテンシュタインで、1960年頃からはミュンヘンで製造されていました。
オールドレンズ好きとしては、リヒテンシュタイン刻印の「マクロキラー40mm F2.8 アポクロマート」というレンズが欲しいところではありますが、なかなか高価で手が出せません。

レンズマウントは様々な種類があり、実はこの個体、エキザクターマウントのものを、M42マウントに後から変更しました。
(M42マウントの方が、対応アダプターが多く実用的なため)
変更パーツがあれば、ネジを外すだけで簡単に変更できます。パーツはメーカー不明のジャンクで手に入れました。
レンズの後玉はかなり出ているため、取り扱い注意です。
特に、ミラーレス以外(ミラーありのレフ機)でこのレンズを使おうとすると、後玉にミラーが干渉して傷が付きますのでNGです!
後玉は若干黄変しているので、もしかしたらトリウムが含まれているかもしれません。
※オールドレンズの硝子にはトリウムや鉛が普通に使われていました。

すり鉢状のインナーパーツ?は取り外しができ、29.5mmの落とし込みフィルターが装着できるらしいですが、自分はケンコーの特注「S-5」フィルターを使用しています。
パーツの脱着は、カチッと心地よい音がしますので、当時の職人さんの粋を感じます。

このようにフィルターをはめ込みます。
ケンコーの特注フィルターは、低価格で一個から作ってくれるので、とてもありがたいサービスです。

先に述べましたDタイプ(ダブルヘリコイド)はこのように伸びます。
このヘリコイドの繰り出しで等倍撮影を可能にしています。

絞りはプリセット絞りというもので、リングが二つあります。
一つ目のリングを絞りたい数値まで回しておいて、解放(F2.8)でピントを合わせ再び回すと一つ目のリングで合わせた絞り値で止まります。
ピントを合わせた後、素早く任意の絞り値で止めたい時にとても便利。
プリセット側のリングにはクリックがありますが、絞りリングにはクリックはありません。

絞り羽根は10枚の円形絞り。
とても豪華な作りです。

オールドレンズをデジカメで使う場合、マウントアダプターを使います。
自分はフジフィルムのX-T1を使用していますので、レンズ側が「M42」というマウントをカメラ側「Xマント」に変換するアダプターです。
マウントアダプターは様々なメーカーから沢山の種類のものが出ていますが、あまり安価なものはカメラやレンズを痛めてしまうことがあるので注意が必要。
自分の場合、オールドレンズを使う頻度も高く、ずっと使うものですので、ちょっと値が張りますが、レイクォールのアダプターを使っています。

愛機X-T1に取り付けるとこんな感じです。
右に写っているシルバーのレンズは、先に述べたマクロキラー初期型です。
マクロキラーもあとで紹介したいと思います。
オールドレンズに興味の無い方にとっては、なんのこっちゃな記事ですが、こういう世界もあるのですよw
次回はこのレンズで撮ったフィギュア写真等をUPしたいと思います。
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