エンジンテレグラフのレストア 其の1

古いモノ、特に"ガラクタ"が好きな自分ですが、ちょっと前に「エンジンテレグラフ」という船の部品を手に入れましたのでレストアしてみることにしました。
「エンジンテレグラフ」とはなんぞ? と思われるかもしれませんので、まずはご説明します。
1枚目に"はいふり"の画像がありますが、晴風の艦橋、操舵輪の隣にあるのが「エンジンテレグラフ」です。

これです。

もういっちょ、これです。
うむ、素敵なアングルだ。

さて、「エンジンテレグラフ」というのは速力通信機とも言われ、
船の速度を艦橋(操舵室)から機関室に伝えるための装置です。
一見すると船のアクセルのように思われがちですが、エンジンなどに繋がっているわけではなく、単に機関室に指令を送る通信機です。
艦これアーケードの右手にあるレバーもコレをイメージしているみたいですね。
(自分の住んでいる近くには置いてませんが><)
昭和30年頃まで大型船などに使われていた船内通信装置で、仕組みも至って簡単、艦橋にある送信機と機関室にある受信機がワイヤーなどで繋がっているだけです。(新しいものは電気式)
たとえば、船を微速で前に進めようとするとき、艦橋から機関室に"微速で前進せよ"という指示をこの装置で出します。
機関室には艦橋と連動する表示盤があり、その動きを見て機関室の乗組員がエンジンの出力を調整します。

こちらが、機関室にある受信機です。
艦橋でレバーを動かすと、機関室にあるこの表示が連動して動きます。
これを見て、機関科のマロンちゃん達がエンジンの操作をするわけですね。
テレグラフによっては、機関室の受信機にもレバーが付いていて、了解しましたという意味でレバーを同じ位置に合わせて艦橋にフィードバックするシステムが付いているのもあります。
晴風のテレグラフは送信機(艦橋側)にフィードバックの針が無く、受信機(機関側)の方にもレバーが無いので、一方通行のテレグラフのようです。

機関室でエンジンテレグラフの動きを見て、マロンちゃんが てぇやんでー! とエンジンを操作します。

晴風のような蒸気タービンエンジンの出力調整は、機関室での操作(数多くのバルブの開け閉めなど)が必要で、どう頑張っても艦橋から直接船のエンジンを操作することなんてできません。エンジンを操作するには機関室の乗組員の存在が必要不可欠なのです。
では、実際に動かすところを見てみましょう。
ミケちゃん(艦長)が「両舷前進、微速」とリンちゃんに指示。
リンちゃんは「両舷前進、微速」と復唱してエンジンテレグラフを操作します。
このとき、レバーを一度大き動かして最終的に「微速」で止めますが、これはリアクションを大きくすることで、
機関室にレバーを "動かしたよ" という意思表示
をするためです。
ハンドルを動かしたときのベルの音も心地よいです。
こういう細かいところに、アニメ製作のこだわりを感じます!

前置きが長くなりましたが、本題に入りましょうw
船を解体するときなどに出るガラクタは、自分を含めて"特定の方々"にとても人気があります。
このエンジンテレグラフなども人気があり、主にお店などのインテリアとして使う方や、コレクターが集めるというのがほとんどだと思います。中には自分のように、"はいふりごっご" をするために手に入れる方もいるかもしれません。(いないよ)
海外製のものはよく見かけますが、日本製で程度の良いものは高値で取引されてます。
上記のはいふり画像のような"一戦速"とか"二戦速"とか、速度に「戦」と書かれたテレグラフの出物は見た事ありません。
ちなみに、アニメスタッフがロケハンに行ったという海上自衛隊の「くらま」にはアニメと同じ表記の"一戦速"とか"二戦速"とかのテレグラフが使われています。
さすがに程度の良いものは高価で手が出せないので、程度の悪くて本当の意味でガラクタ的なものを救出して、綺麗にしてあげようということで、さっそく分解清掃です!
手に入れたときの状態を写真に撮っていなかったので、上の写真は既に分解している途中のものですが、状態は悪いです。
表示盤の直径は約18cm、テレグラフとして小さめです。
支柱を含めての高さは約89cm
また、上の動画でも分かるように、普通はハンドルを動かすとチリンチリンとか、カーンとか音がしますが、この個体は何も音がしません。最初からそうなのか、ベルが外されてしまったのか不明ですが、ベルが鳴らないエンジンテレグラフは人気がありません。
かわいそうなので、ベルを付けてあげたくなります。(もちろん、オリジナルに戻せる範囲の加工で)

上の分解中の写真は一度置いておいて。
改めて、まずは裏からアクセスしてみます。
ネジはさび付いていたので、CRCを染みこませながら慎重に外します。

電球が仕込まれていました。
24v、10w です。

どんどんバラしていきましょう。
支柱から上部ユニットを外します。
マイナスネジって格好いいですよね!

外れました。
中から汚いチェーンがずるずると……。
レバーが動かなかったのですが、なるほど、チェーンが外れて噛んでますね。

うわー、汚い……。

チェーンの先はネジになっていて、ここに機関室へ繋がるワイヤーを取り付けるようです。

続いて、本体をバラします。
サイドのネジを外して、固着してしまったパネル部をハンマーで叩きながら慎重に外しました。

うまく外れて一安心。
チェーンはくっついていて外れません。なるほど、別にぐるぐる回るわけではないので固定してあるんですね。
ここは外さなくても掃除ができるので、このままにしておきます。

そして、一番苦労した所、レバーの固定ピン抜き。
CRCを染みこませながらハンマーで叩くのですが、本体から外したためにやりづらい!
バラすときは、一番最初にこのピンを抜くことですね。

一度外した表示盤を本体に付け直し、ハンマーで叩き出してやっと外れました。

これで、本体はバラバラにできました。
さて、写真枚数も多くなってきましたので、今回はここまでです。
次回、其の2へ続く>>>>
明日に向かって、よーそろ~。
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