100式飛行時計

前回、ドイツのユンカース製「メッサーシュミット搭載時計」を紹介しましたが、
今回は日本の精工舎「陸軍100式飛行時計」を紹介します。

100式飛行時計は本来、前回紹介したメッサーシュミット時計のような形をしていて、陸軍の航空機に取り付けられていました。
戦後、機体から取り外された時計は、パイロットや関係者によって時計屋に持ち込まれ、懐中時計に改造されました。
飛行時計自体、「19セイコー」という懐中時計がベースになっているので、懐中時計への入れ替えは容易だったようです。
精工舎から、直接軍に納品されていたので、精工舎(現セイコー)にも資料が無いようです。
100式の他に、スモールセコンドが付いた93式もあります。
一番人気は93式の前期(15石)モデルです。
メッサーシュミット時計の紹介でもお話しましたが、この100式や93式と中身はほぼ同じで「海軍航空時計」というものがありますが、数が極端に少なく、相場は70万円くらいします。
ちなみに、
海軍は「航空時計」
陸軍は「飛行時計」
と呼び方が違います。やっぱり当時は海軍と陸軍は仲が悪かったのでしょうか。

さて、この100式飛行時計のケースはちょっと変わっていて、あまり見ないタイプだったので購入してみました。
デザインが凝っていて、リューズガードが海軍の秒時計のようでカコいいです。
とある旧家から出てきたワンオーナーものです。
風防は割れ、秒針が紛失していたのを、オーバーホールと共に取り付けられたものです。
風防と秒針がオリジナルではないので、格安で入手できました。
しかし、風防は当時のものの合わせだし、無くなっていた秒針は、同じ時代の精工舎「プレジジョン」という懐中時計(たぶん)の赤い秒針のものが贅沢にも取り付けてありますので、ある意味貴重です。何よりかっこいい><b

自作の台を作って、机の上に置いてます。
デジタルには無い、コチコチコチ……というリズミカルな音も魅力です。
数字も見やすく、12時の方向に書いてある「時」という文字もかわいいですよね。
時計と関係ないですが、付けているストラップは「京くみひもストラップ」という携帯用のストラップ。
よく似合っているのでとても気に入ってます。

文字盤、6時の方向に「(一日捲)飛行時計」と刻印があります。
一日捲なので、毎日ゼンマイを巻く必要がありますが、それがまたいいんです。

オリジナルではない「赤い秒針」
先に言いました、「プレジジョン」という懐中時計の秒針だと思いますが、かっこいいです。
プレジジョンも、士官への官給品と言われている懐中時計なので、ロマンを感じます。

珍しいリューズガード。
海軍の秒時計は、この形に似ているガードが付いてます。

横から見ると普通のケースとデザインが違います。
普通はツルッとして装飾が無いものが多いのですが、この100式は手が込んでます。

裏はフラットです。

蓄光も生きてます。
今回入手した時計は、風防も無ければ秒針も無い、まともに動かないものだったようです。
それが、今ではしっかり整備され、縁あって自分の所で時を刻んでいると思うと考え深いです。
これからも大切にしようと思います。
今回はここまで。
今度は、機会があれば海軍夜光秒時計等を紹介したいと思います。
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