沈船防波堤「汐風と澤風」

昨日は各地で色々なお祭りが開催されていました。
地元栃木だと、巻狩りまつりとか、宇都宮のジャパンカップサイクルロードレースなど。
宇都宮城址公園では、連続爆発(自殺)があったようですが……。
そして、横浜では艦これ「秋刀魚祭り」!
艦これ秋刀魚祭りは当然沢山の人が集まったようです。ですが、会場が広くて物販窓口も多く設置され、混乱もなく楽しめたようなので、行けばよかったとちょっと後悔。
艦これ「春の艦祭り」で地獄を見たので、躊躇してしまいました。
さて、お祭りのことは綺麗さっぱり置いておいて。
先日、ちくまの艦艇公開に行ったとき、近くにある沈船防波堤を見てきました。
※ブログカテゴリーは艦内神社を巡る旅"番外編"にしました。
沈船防波堤とは、
戦後、コンクリートや石材が不足していた頃、軍艦を利用して造られた防波堤のことです。
昭和23年4月に、駆逐艦「澤風」が小名浜港魚市場前に沈められ、約100mの防波堤が造られました。
同じ年の8月に澤風と同型艦「汐風」が小名浜港1号埠頭に防波堤として沈められました。

澤風と汐風の位置関係をグーグルマップ上に記載してみました。
汐風は現在も埋立護岸の基礎として埋められたままですが、澤風は澤風は昭和40年に撤去されたようです。
当初、澤風は右側に見える波止場の真下に埋まっていると勘違いしていました。
澤風の沈船防波堤が写っている古い航空写真を、現在のグーグルマップに重ねてみた所、澤風の位置は上のようになりました。
澤風は綺麗に撤去されて、もう少し沖に現在の波止場が造られたようです。

汐風の位置をもう少し拡大してみます。
この位置に現在も汐風は埋まっています。
東日本大震災でコンクリートが崩れてしまったので、現在は更に補強整備され汐風の面影はまったくありません。
昔は甲板の一部が海側に露出していて、簡単に見ることができたみたいです。

さて、TOPの写真と同じ所を写していますが、
このレンガで丸く囲った場所が、澤風の船尾になります!
この真下の汐風が埋まっているのです。
そして、残念ながら工事中でした!><。

工事中の中を覗くと、随分綺麗になってます。
昔はこのコンクリートがなかったので、汐風の一部を見ることができたようです。

ら・ら・ミュウのクルーズ待合室には、汐風の模型が展示してあります。


汐風模型は、海上自衛隊護衛艦「みねゆき」の乗員が"艦内の廃材"を利用して作成したものらしいです。
廃材でフルスクラッチ!

さて、場所を変えまして、汐風がある「いわき・ら・ら・ミュウ」から東に進んだ場所にある三崎公園にやってまいりました。
奥に見えるのが「いわきマリンタワー」です。
この公園には、小名浜港にあった沈船防波堤「澤風」の解体時に外された「タービン」が置いてあります。


興味深いことが書いてあるので、書き出してみます。(原文そのまま)
東北地方最大の国際港であり、日本一の広域都市いわき市の海の玄関でもある小名浜港は、かつては今日のような立派な護岸も防波堤もない、遠浅の砂浜に小さな漁舟を引揚げておく程度の漁村にすぎませんでした。
長い苦しい戦争を戦い抜いて、生残った日本海軍の艦艇は武装を撤去し、苛酷な悪条件下に海外からの復員軍人のみならず、婦女子や病人など、十数万の国民の帰国の運送に働いた後、本土沿岸の危険な機雷処分に働き、更にあるものは連合軍に引き取られ、あるものは現在の海上保安庁に残されたりしましたが、横須賀港にあって15センチ9連装ロケット砲を装備し、対潜学校練習艦として沿岸警備に活躍していた「沢風」と、日本海方面にあって特攻兵器「回天」の搭載艦となっていた「汐風」の2隻は、日本再建の希いをこめて、福島県小名浜築港の基礎とするために回航され、沢風は今の魚市場前の防波堤として、また汐風は現在の1号埠頭の中央付近(当時はそこが突堤の先端であった)に着底させ、コンクリートで固定してそのまま防波堤として使用することになったのです。
沢風・汐風は同型艦で、大正9年・10年の完成で、1,215トン、長さ97.5メートルの技本式(海軍技術本部式)パーソンス型タービン38,500馬力2基を備え、当時39~40ノットの高速をだし得た優秀艦であり、北洋警備などにも活躍して本県の北洋漁船員にはおなじみの軍艦であり、戦前、いわき市出身の艦長 小野四郎少佐が指揮をして、小名浜港に入港したこともあるのですが、これらの艦も今は忘れられた存在となってしまいましたが小名浜在住の旧海軍々人有志の海桜会が廃棄処分となった同艦のタービン機関を保存し、その後ここに名を連ねる福島県海友会を中心とする有志の人々の苦心と熱意とによって、記念碑として永久に保存することになりました。



永久に保存と説明に書いてありましたが、"鉄"が野ざらしなので、すぐに朽ちてしまいそうです。
せめて、屋根が欲しいですよね。

蒸気タービンエンジン、良い響きですw
現在残っている蒸気タービンは、護衛艦「くらま」のみです。
寂しいですね。


最後に、不機嫌瑞鳳さんと記念撮影です。
汐風埋没地は「いわき・ら・ら・ミュウ店」から見学できますので、新鮮なお魚を買いに来るついでに、汐風の埋まっている場所に立ち、思いを巡らしていかがでしょうか。
小名浜湾内めぐりのクルーズもありますし、近くには水族館アクアマリンふくしまもありますよ。
澤風タービンのある公園は、高台にあるので小名浜港が一望できて素敵な場所です。
以上、沈船防波堤のレポートでした。
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