九二式高聲電話器用・發音器

古いモノこれくしょんの紹介です。
もはや、このカテゴリは日本海軍の"モノ"関係になりつつありますが、今回もそれ関係でいきたいと思います。

昔の船など、艦内の伝達には伝声管という漏斗状の金属管が使われていました。
多分、何かしらで見た事があるものだと思います。
たとえば……


というものです。
金属のパイプが声を伝えるだけなので、電気も使いません。
ただし、音声が不明瞭になる場合もあるので、伝声管と併用して電話機が設置されていました。
その電話機が、今回紹介する九二式高聲電話器です。
卓上型、移動型、ヘッドセット型、据え付け型など様々なタイプがありますが、この個体はボルト穴があるので、先に話した伝声管と同じように、艦内に固定されていたものだと思います。

見つけたのは海外のオークションでした。
説明には、90歳の隣人が第二次世界大戦中、南太平洋で沈みかけの日本の軍艦から取り去ったとありました。
よろしい、ならば返してもらおうか! と、ほぼ送料のみで購入したものです。
はてさて、第二次世界大戦中、南太平洋で沈んだ軍艦とは……。
色々と思いが巡ります。

なるべく色温度を見た目に近付けて、海軍工廠グレーと比較してみました。
WBやモニターで見え方が違うかもしれませんが、目視だと「呉グレー」に近いような気がします。

2つありますが、微妙に形が違います。
先に話したように、伝声管と同じように設置されていたと思わせるボルト穴。
持って使うものではないようです。

交流發音器
日本電気株式会社
と書かれています。今のNECですね。
そして、お馴染み、
「○ト」と「錨」の刻印プレートも!

本体にも、○ト、錨マークがあります。

裏側本体にも
○トマークあり。

もう一つの方は、別なプレートが付いています。
發音器
九二式高聲電話器用
昭和14年4月
東京 沖電気株式会社
とあり、○トと錨マークの刻印も。

分解してみました。

ベークライト製のユニットにも、○トと錨マークがありました。

薄い鉄板(振動体)が中央のコイルに触れることで、音を電気信号に変える仕組みのようです。
思ったよりしっかりしていたので、まだ使えそうですw
汚れを綺麗に落として、戻しました。

左側のネジが小さいですが、ここのネジは元々紛失していたようで、合うネジをはめました。
ネジはもちろん、旧JIS規格なので一般には出回っていません。ネットで注文しました。
さすがに、ネジ頭が同じものはありませんので、サイズとピッチが合うもので代用しています。

もう一つも清掃しようと分解したところ、ユニットのベークライトが割れていました。
まあ、実用することはないと思いますので、掃除するだけにしてそのまま戻しました。

恒例ですが、せっかくなので台座を作って飾ることにします。
ふむふむ、なかなかいいんじゃないでしょうか。

今回はここまでです。
さあ、次回はどんなガラクタを紹介しましょうw
スポンサーサイト