フィギュア写真の撮り方/基本編「ライティング」

フィギュア写真の撮り方、基本編の「ライティング」についてお話します。
ここでお話するライティングは情景写真に特化したもので、デコマス撮影(商品写真やCM撮影など)とは少し違うかもしれません。
デコマス撮影にはそれなりのライティング機材が必要になってくると思いますが、情景写真には特別な撮影機材などは必要ありませんので、気軽に始められると思います。
今回は、上の写真に写っている「光源」と書かれた普通のアームライト一つでお話を進めてまいります。
※光源と書かれているライト以外は使っていません。
ではさっそく、光源の位置についてお話します。
上の写真の通り、光源の位置を正面に設置して一枚撮ってみましょう。
被写体は、グッドスマイルカンパニーの「大和改・軽兵装版」です。
この表情たまりませんね////
話が逸れましたw
改めまして、こちらが光源を正面に設置して撮った写真です。
このように、光が被写体の正面に当たっている状態のことを順光といいます。
見ての通り立体感が無く、記録写真や証明写真に向いているライティングです。
立体感が乏しいので、フィギュアの情景写真では、まず使いません。

では、光源を少し動かしてみましょう。
正面から左に動かし、光が被写体に斜め前から当たるように設置しました。
正面から当たる光は順光といいましたが、斜めから当たる光は斜光といいます。
この様態で撮ったのが次の写真です。
光が左斜めから当たっていますので、大和さんの右側が少し暗くなり影ができているのが分かります。
立体感も向上して、表情にも生気を感じることができます。
光が横や斜めから当たっているので、当然の現象ですが、この立体感が大切。
ちなみに、真横からの光は、側光(サイド光)といいます。

分かりやすいように、順光と斜光を並べてみました。
斜光の方は、立体感だけではなく、透明感も感じることができると思います。
表情も随分違いますよね。
光源の位置を少し移動しただけで、これだけ表現が違ってきます。
それでは、もっと光源の位置をずらしてみます。

光源は左後ろに設置しました。
後ろから被写体に光りが当たることを逆光といいます。
また、今回のように真後ろではなく、後ろ斜め辺りに光源を置くことを、半逆光といいます。
情景写真の中では、一番使用頻度の高いライティングです。
この状態で撮った写真が次ぎの写真です。
いかがでしょう、顔が真っ暗ですw
情景写真で一番使用頻度が高いライティングがこんななの?
と思われるかもしれませんね。
もちろん、これでは絵になりませんので、ここで レフ版 を使います。

今回、レフ版はちゃんとした撮影用のレフ板を使用していますが、アルミホイルなどでも代用できます。
このサイズのレフ板は1,000円もしませんので、一個買っておくと色々使えて便利です。
小さく折りたためますので、野外撮影などでも重宝しますので、お勧め。
ちなみに、このレフ板はカメラ雑誌の付録でしたw
レフ板は銀色が一般的ですが、白や金、黒などもあります。
白レフは画用紙でも代用できますので、慣れてきたら色々試してみてください。
レフ板は、逆光の光を反射して、被写体の前面に当てることで、被写体を明るくします。
ここで注意したいのは、反射の光が後ろ(半逆光)の光より強くなってしまうと、先に説明した順光になってしまうので、立体感が損なわれてしまいます。
鏡などの反射の強い物をレフ板として使う場合は要注意です。
では、この状態で撮ったのが次の写真です。
随分明るくなり、表情が分かるようになりました。
このように、後ろからの半逆光が透明感と立体感を作りだし、レフ板によって正面や顔を明るくする、というのが基本のライティングになってきます。
また、レフ板を使うと、瞳にアイキャッチ(光の映り込み)が入る場合があります。
フィギュアのアイプリントの質にもよりますが、今回の被写体、大和さんの瞳にも入っているのが分かります。
これは、その時撮ろうとしている情景の雰囲気や、好みで、入れる入れないが分かれると思います。
映り込みを消す場合、レフ板の角度を調整したり、PLフィルターというレンズフィルターを使用して消します。
今回はそのままにしました。
商品撮影ではNGですが、情景写真では可愛ければ良いと思いますv
さて、この写真、レフ板によって確かに明るくなりましたが、何か物足りません。
もっと顔を明るくして、キラキラ感を出したいと思います。
そこで、レフ板を追加します。

追加するレフ板は先に使用した同じレフ板ではなく、凹凸のあるステンレスの皿を使用します。
これは100均で買った皿ですが、何でも良いです。
ステンレスの板をぐにぐにに曲げて使うのもアリです。
スプーンやフォーク、お好み焼きのコテなどでもOKw
ポイントは、なるべく凹凸があるステンレス製がベストです。

二つのレフ版の位置関係はこんな感じ。
先に設置した右の一般的な銀レフで全体に光を当て、左のステンレス皿で部分的に強い光を当てます。
このステンレス皿に凹凸がなく一枚の板だと、反射した光が全て被写体に当たってしまいます。
そうなると、先に言った順光気味になってしまうので、折角の半逆光の効果が消えてしまいます。
凹凸があれば、乱反射によってムラのある光が作れるので、その一部の光をスポット的に当てることができます。
また、乱反射のムラのおかげで、一部に強い光を当てても不自然になりません。
今回は、顔の左が暗めなので、そこに重点的に反射するようにステンレス皿を設置します。
一部に反射が強すぎると、そこが白く飛んでしまいますので、皿の角度を調整しながら光を当てていきます。
こちらが、ステンレス皿の反射を追加した写真です。
いかがでしょう、キラキラ感、肌の透明感、表情の生気、なかなか良くなったと思います。
上手くいかない場合は、後ろからの光とレフ板の光のバランスが悪いことが考えられます。
光源とレフ板を微調整してバランスを取るようにします。
また、光源とレフ板で調整しきれないときは、カメラ側で露出補正します。
※露出補正については、また別の機会に。

比較の為に、冒頭で撮った"順光"と並べてみました。
何も特別なことはしていませんし、特別な機材も使っていません。
一つの光源を使用して、ここまで表現が変わってきます。
ライティングと言うと難しいように感じたり、特別な機材が必要だと考えがちですが、光さえあればライティングはできます。
デスクライト、ペンライト、懐中電灯、etc...。
是非、色々試して、楽しみながら写真を撮ってみてください。
今回は以上です。
今後は、実践編を予定していますが、その前に、ライティング"光源"の選び方についてお話します。
最後に、光源の位置やレフ板を変えて撮ったものを載せておきます。
ライティングをちょっと変えるだけでも、色々な表情が見えるこを感じていただければ幸いです。
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