フィギュアの撮り方/照明について②「白熱球、蛍光灯、LEDの特性とお勧め照明」

照明について②です。
「色温度」と「Ra」という言葉が出てきますので、前回の照明について①を読んでいただけると分かりやすいと思います。
それでは、各照明の特性から見ていきましょう。
※照明の素の特性を見るため、カメラのホワイトバランス設定は5,300Kに固定してあります。
①白熱球
フィラメント電球ともいい、エジゾンが商用化したのでも有名です。
当時、電球のフィラメントには、京都の竹が使われていたそうですよ。
フィラメントに電流を流したときに生じる"発熱"を利用した光なので、高い熱が発生してエネルギーも多く消費します。
フィギュア撮りでは、フィギュアに接触させるとフィギュアが溶けますのでご注意を!(経験者・・・)
温暖化防止、省エネなどの理由で近年では製造が激減しています。
法律で製造を禁止している国もあるくらいです。
白熱球?何それ?という若者も今後増えてくるかも・・・。
フィギュア撮りとは関係ありませんが、個人的に一番安らぎを感じるのが白熱球です。
透明ガラスの白熱球は中のフィラメントがよく見えるので、調光器などで減光して、赤く発光するフィラメントをただぼーっと眺めるのも良いものです。
トップの写真はそんな意図で撮ってみました。
話が逸れましたが、「照明について①」でお話したように、白熱球のRaは人工光源の中では最高クラスのRa100。
演色性がとても優れています。
色温度は2,700Kくらいと低く、強い赤みがあります。
※演色性が優れていても色温度が低いため、実際の見た目は赤っぽくなります。
赤みを利用して、夕方や夕焼けの演出や、室内の雰囲気作りに適しています。
カメラのホワイトバランスで調整は可能ですが、結構面倒なので、色温度の低い演出をする以外はあまりおすすめできません。
②蛍光灯
蛍光灯の仕組みを調べてみると「放電で発生する紫外線を蛍光体に当てて、可視光線に変換する光源」とあります。
簡単に言うと、電子がガラス管の中に封入された水銀原子と衝突して、紫外線が発生します。
その紫外線がガラス管内に塗布されている蛍光物質に当たり、可視光線が発生する、らしいです。
普段何気に使用している蛍光灯、なんか凄いぞ。
しかし、ほぼ影響が無いとはいえ、記述の通り紫外線が発生していますので、フィギュアの劣化に繋がる可能性も・・・。
美術館などで使用している蛍光灯は、高演色性蛍光灯(Raが高い)かつ紫外線が外に漏れない蛍光灯です。
高演色性蛍光灯は正しい色彩の認識ができるので、イラストを書く方やガレキやプラモを作る方にもお勧めです。
高演色性蛍光灯には及びませんが、三波長発光形蛍光灯、または3波長と書かれた蛍光灯もRaが高めです(大体Ra83くらい)
蛍光灯を購入する場合の参考にしてみてください。
演色性の目安。
太陽光 > 高演色性蛍光灯 > 三波長発光形蛍光灯(3波長)> 一般蛍光灯
③LED
別名「発光ダイオード」
ご存じの通り、次世代照明です。
低消費電力で長寿命、放射熱も少なく、紫外線も発生しません。
欠点としては、高価、演色性が乏しい、拡散性が無い。などが挙げられますが、近年では改善されて、もはや欠点は価格のみでしょうか。
価格も、寿命や省エネを考えれば、そう高くないと思います。
演色性も格段に良くなり、最近では演色性に優れた高いRa値のLEDも出てきました。
ここで、お気に入りのLEDを二つ紹介します。
■東芝 高演色LED電球「キレイ色-kireiro-」(昼白色)
拡散型(5,000K/Ra90)
拡散型の高演色LEDです。
色温度も5,000KでRa90という理想に近い照明。
当初のLEDの欠点だった拡散性が無いというのを克服したLEDで、今までの白熱球や蛍光灯のように全方位に光が広がるタイプです。
光が均一に広がり演色性にも優れているので、フィギュアの紹介写真や、デコマス写真、とにかくフィギュアを綺麗に撮りたいときにお勧めなLEDです。
これからフィギュア撮りを始めようという方にも、とてもお勧めできます。
初心者を対象とした高価な撮影ブースとか、照明とかよく見かけますが、このLED一つあれば綺麗な写真が撮れます。
続いて、フィギュアの情景写真にお勧めなのが、指向性の強いスポット型LEDです。
現在自分が撮っているフィギュア写真は、ほぼこのタイプのLEDで撮っています。
■エス・ティー・イー デコライト
LEDスポット型(4,000K/Ra90)
拡散型LEDは光の広がりが今までの白熱球や蛍光灯と同じなので、上記の①白熱球、②蛍光灯と見比べても雰囲気が同じですが、このスポット型の写真だけ雰囲気が違います。

ちょっと見にくいですが、縮小して並べてみました。
左から、白熱球、蛍光灯、LED拡散型、LEDスポット型
LEDスポット型だけ雰囲気が違うのが分かります。
光源の位置は全て同じ条件、フィギュアの撮り方の基本編「ライティング」でお話した斜光で撮っています。
※レフなどに反射させてますが、基本は同じです。
スポット型は指向性があるので、より明暗がはっきり出ます。
木漏れ日の表現や、室内で窓から入る日の光など、情景写真としての雰囲気を出すのにとても活躍するLEDです。
光にムラが出やすいので、デコマス撮影などには向いていませんが、情景写真ではそのムラで"汚し"て雰囲気が出せます。
プラモで言う"ウェザリング"のようなイメージかもしれません。
ただ、光が拡散せず直線的なので、レフ板を複数使用したり、光源の数を増やしたりなど、扱いが難しくなります。
セッティングがばっちり決まったときの雰囲気はとても良いものですので、是非ともチャレンジしてみてください。
※今回は照明の特性を見るため、カメラのホワイトバランス設定は5,300Kに固定していますが、オートで撮ると赤みが取れてより自然な発色になります。
さて、いかがだったでしょうか。
もちろん、今回紹介した照明が全てではありませんので、色々試すのも楽しいと思います。
自分も、日々何か新しい照明を探していますので、また良い物があったら紹介していきたいと思います。
次回は、ライティングの実践編を予定しています。

おまけ。
今回紹介したお勧めLED。
左が、東芝 高演色LED電球「キレイ色-kireiro-」(昼白色)
右が、エス・ティー・イー デコライト(白色)

おまけ2。
散らかってますw
今回は全てこの状況で、光源を変えながら撮りました。
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